今年度の研究活動は、おおまかに分けると(1)研究会、(2)版本調査、(3)宋代文学関連書籍の蒐集の3つである。 (1)今年度の研究会(読書会)は、ほぼ週1回のペースで行い、年度末までに『四庫全書総目提要』(四庫提要)の別集九〜十八、すなわち南宋別集の部の第二次草稿を完成させることができた。 (2)版本調査は、海外では、台湾の国立国家図書館に1回、国内では東洋文庫、東京大学東洋文化研究所、大倉集古館、御茶ノ水図書館にてそれぞれ1回、国立公文書館内閲文庫にて3回おこなった。その結果、蔵書目録に元刻本とあるものが実は明初刻本であることなども発見し、実物を閲覧することの重要性を再認識するに至った。国立国家図書館では、旧北平図書館所蔵の貴重書・善本を多く閲覧することができ、またマイクロフィルムがあるものについては、その序跋の部分を複写することを得、現在、日本に蔵されている版本との校勘を行っているところである。 (3)宋代文学関連書籍の蒐集では、昨年度、野村が所属する奈良女子大学に電子活字版CD-ROM『文淵閣四庫全書』と中国語専用のパソコンを導入することができたが、中国語専用パソコンが不調をきたし、パソコンをもう一台購入するなどの対応を迫られた。これによって研究環境が改善された。また、引き続き宋代文学関連の書籍の蒐集を心がけ、日本で刊行された宋代文学の研究書籍についてはほぼ完備することができた。
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