研究概要 |
本研究は、平成10年〜11年の科研費基盤研究(c)「四庫全書宋人文集提要に関する実証的研究」(課題番号10610448研究代表者:筧文生、研究分担者:野村鮎子)の後に続く研究である。この時の研究では、『四庫全書総目提要』の宋人別集全体を対象としていたが、『四庫全書総目提要』が著録する宋人の別集は北宋・南宋をあわせて382家390種という膨大な数であるため、全てを2年間で調査し終えることはできなかった。そのため,まず、北宋の部分の研究成果を『四庫提要北宋五十家研究』(汲古書院2000年)として公表し、南宋の部分に関しては、将来の研究計画にゆだねざるを得なかった。 本研究は、『四庫全書総目提要』南宋別集の部の解読作業と国内外の善本所蔵機関への調査を中心としたものである。『四庫全書総目提要』の南宋別集の部は267家274種の別集を著録しているが、このうち文学論や文学史観に言及しているものを中心に53家57種を選び、『四庫提要南宋五十家研究』(汲古書院2006)として公開した。出版に際しては、平成17年度の研究成果公開促進費をいただいた。 本邦には、これまで南宋の詩人や別集版本に関する体系的な研究書は存在していなかった。宋代文学に関する研究のほとんどは、北宋についての研究であり、南宋文学は看過されてきたといっても過言ではない。南宋文学全般を研究対象とし、なおかつ南宋詩人に関する基本情報を盛り込んだ本書の出版目的はここにある。これはまた、5年前に上梓した『四庫提要北宋五十家研究』(汲古書院2000年)の續編にあたっており、この本の出版によって北宋篇と南宋篇の双方が揃うことになった。
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