研究課題
以下の5点に研究重点をおき調査研究を行った。(1)「七十一番職人歌合」の構造的特色とその和歌史的意味:比喩表現(Metapher)の構造に関して和歌史的調査を行い、Meistergesang(職匠歌)の場合との比較を行った。(2)(1)を基礎にした伝統継承の意味と在り方に関する比較文化的調査:Metapherは過去の文学(文化)遺産継承を象徴的に反映している為、この継承の在り方には歴史的社会構造が密接に関連すると考え、実証的な日独比較の根拠を探り出したいと考えた。(3)日独中世史の社会文化構造的比較研究:(1)と(2)から導き出される伝統社会文化継承の在り方の様相を従来の歴史学の研究成果と比較対照する為に、日独双方の歴史学研究の成果や現在の諸状況を調査した。(4)文化研究理論の調査:近年特にドイツで盛んな文化研究理論の中から、記号論、間テキスト理論(Interteatualitat)、文化比較理論(Interkulturalitat)の方法と適用の実例を調査した。(5)ドイツに於ける労働観と生産性に関する基礎的な研究書の調査を行い、近年の「生産拠点論」に関する主要論点の整理、「生産文化」という概念規定に関する考察を行った。以上から、「七十一番職人歌合」の構造的特色をMeistergesangとの比較から再考察し、双方の相違を社会文化的背景構造との関連から導き出す比較研究の成果取り纏めを行っている。並行して行ってきた事として、中世ドイツ詩における「神話モチーフ」の継承と、これに対応する日本の「神話モチーフ」継承の比較考察がある。これを基礎に纏めた「神話とアイデンテイテイー」の論文(独語)の補充研究調査を行った。日本の詩歌におけるMetapherの在り方の「枠組み」を捉える上に重要だと考えられる。特に日本(古典)文化の比較研究、その背景となる社会構造研究には、将来的に重要な課題になると考えられる。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (3件)
The Asian Impact - Kulturtransfer im GroBraum Eurasien",Johannes Gutenberg-Universitat Mainz Marz 2007 (国際シンポジウム発表)
5.Deutsche-Japanischen Interdisziplinaren Symposion-The Asian Impact on World Literature and World Culture",Johannes Gutenberg-Universitat Mainz September 2006.(国際シンポジウム発表)
Europaische Japan Diskurse (EJD)IX, Prag, ?Vernunft and Gefuhl in der japanischen Kultur",Charles University in Prague September 2006.(国際シンポジウム発表)