研究課題
基盤研究(B)
本年度は国文学研究資料館所蔵の和泉国大鳥郡上神谷豊田村小谷家文書のマイクロフィルム撮影を行った。小谷家文書は、戦国期から近世前期(17世紀)の史料を多く含むことが最大の特色なので、17世紀までの史料については全点を撮影した。これを用いて次年度以降本格的な内容の分析に着手する予定である。次に河内国丹南部岡村岡田家文書については、月1回、1回3時間程度の時間をとって、未整理史料の整理・目録作成を行った。それと平行して内容の分析を開始し、18世紀と天保期における同家の経営内容、および隣村大井村における土地集積と土地管理について新たな知見を得ることができた。18世紀の経営に関しては(1)粕・木綿の販売先、金融圏、所持地の分布、小作人の分布などをみると、それらはいずれも岡村から半径5キロメートル以内に収まること、(2)それらは一部相互に重なり合うが、同時にズレてもいること、(3)天明期は、金融部門における貸付件数の増加と領主貸の増加、地主経営部門における小作人数の増加と支配人(岡村以外にある岡田家所持地の管理者)制の確立などの点で、岡田家の経営が質的に発展する画期であったこと、などの諸事情を今回初めて明らかにすることができた。また、信濃国松代真田家文書については、2回松代に足を運んで現地での史料収集を行うとともに、国文学研究資料館所蔵分について内容の分析を進めた。その結果、松代藩領における盲人の存在形態など、全国的に見ても貴重な事実を発掘することができた。研究初年度としては、順調なすべり出しと言ってよいと考える。
すべて その他
すべて 文献書誌 (5件)