研究概要 |
本研究の目的は、日本古典歴史史料を対象に、文書構造や歴史的記述方法に着目し設計された英日全文連携検索システムを開発し、インターネット上に公開することにより、歴史学研究を援用し、さらに、国際的なコラボレーションを促進する研究である。具体的には、日本古典文献25巻のディジタル化とデータベース化を目標にしている。直接対象とする文献は、日本の記紀である古事記、日本書紀、続日本紀や神皇正統記、神祗関係の法令である延喜式、特定の地方誌的文書である出雲国風土記、日本初の解釈歴史書である愚管抄、歴史物語の大鏡、吾妻鏡等であり、さらに、日本古典文献25巻のディジタル化、Web上で英語と日本語(または、両言語)を利用した文献内検索と文献間連携検索、閲覧、再利用を目標にしている。日本古典文献の一部を文書の実体と共にその論理構造(階層構造)や属性(XML Schema)を定義可能なXMLでマークアップし、それらXML化された各種文書ファイルをデータベース管理システム(Open Text)に格納し、インターネットのWebブラウザから高速で有効な検索を実現するためのインターフェースを開発した。さらに、文献情報と古典史料を取り扱うとき重要な地理情報(地理的・歴史的データの連携)との連携化を開発した。 1.昨年度に引き続き日本古典文献の対象文献をOCRを利用し入力した(文字認識でディジタル情報化:「太平記」、「読史余論」など)。 2.歴史史料の文書構造と歴史的記述方法に着目した検索手法を開発した。 3.一部文献(古事記、日本書紀、続日本紀、神皇正統記、出雲風土記、延喜式)に対して、文書構造や相互関連から有効で効率的な検索を可能にするXMLのタグ付けを定義し、全文検索と組み合わせた文書構造検索方式を開発した。 4.文献情報と古典史料を取り扱うとき重要な地理情報(地理的・歴史的データの連携)との連携化を開発した。延喜式に神社名が登載された式内社(2,861社、3,132座)の神社名、地域名、地名の変遷、位置情報(緯度、経度)など作成し、地理情報共有システム(GIS : Geographical Information Science)との連携化を実現した(式内社データ、出雲風土記の地名変遷データ)。
|