研究課題
基盤研究(B)
2005年度の調査として、国立慶州博物館において、雁鴨池から出土した文字資料の調査を2度にわたっておこなった。同遺跡の木簡は韓国ではじめて出土したもので、1975年に発掘された。しかし、これまで信頼に足る釈読がなされていなかったため、研究はほとんどすすんでいなかった。そこで、赤外線カメラによる観察に基づき確実な釈文の作成に努めた。その結果、これまで確定できなかった文字を新たに釈読することができ、雁鴨池木簡の性格付けをはじめておこなうことができた。木簡の内容は、墨書土器など他の出土文字史料や、土器・金属製品をはじめとする出土資料とも関係が深いことが分かったため、今後、それら出土資料と総合的な検討を進めることで新羅の宮廷内部の実情を具体的に明らかにできるものと期待される。これらの調査成果の一部は、2006年1月14日には、早稲田大学において国際シンポジウム『韓国出土木簡の世界III』を開催して公表した。また、平川南が「古代日本と百済における道の祭祀-陽物木製品の検討を中心に」と題し、2004年度に調査した扶餘・陵山里出土の陽物木簡について報告した。この木簡は、王京の外から邪悪なものが侵入してくるのを防ぐため東門外で道の縁に立てて祭祀に使用されたものと推定され、それが百済人によって古代日本に伝わり、現代の道祖神にまでつながっているとした。パネルディスカッションでは、李成市が司会をし、三上喜孝がコメンテーターとして加わり、討議をおこなった。個々の木簡がどのような場所で使用されたのかという点に留意する必要があること、中国における木簡の使用例との比較など、国単位ではなく東アジア規模で考えることの重要性が明らかになった。
すべて 2006 2005
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Centrality and Marginality of Ancient Documents in Their Historical Contexts
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Letter and ancient Japan 2
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The way where a letter came to Ancient Japan
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