研究課題/領域番号 |
15320100
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
西洋史
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
神寳 秀夫 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (90118331)
|
研究分担者 |
直江 眞一 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (10164112)
岡崎 敦 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 助教授 (40194336)
藤井 美男 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (70183928)
山田 雅彦 熊本大学, 大学教育機能開発総合研究センター, 教授 (90202382)
正本 忍 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (60238897)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2005
|
キーワード | 中・近世 / 国制史 / 統治構造 / 国家機能 / 王権 / 官僚 / 中間権力 / 都市 |
研究概要 |
中世および近世の西欧諸国家(ドイツ、イングランド、フランス、ベルギー)における、国家-中間権力-平民間の統治構造と、被治者の視点をも入れた国家機能との解明を課題とする本研究は、個別・全体研究会と学会シンポジウムとの開催を通して、また、研究協力者との討議をも踏まえて、その解明に努めてきた。その際、(1)近代国家の国制史的枠組みから脱して、前近代国家を「持続的な高度の政治組織」と広くとらえ、(2)中世と近世との時代区分論的なかかわりを歴史学的に考察した。 明らかにし得た点は次の通りである。 1.中世、近世ともに国家は、官僚を通じての直接統治と、封臣・聖職者・都市(中世)ないし中間権力(近世)と通じての間接統治とからなる二元主義的体制を示している。しかし、近世においては、官僚支配は全国に及び、君主と直属臣下との双務的な支配関係は大幅に後退し、固有の身分制国家段階ではもはやない。 2.国家機能は、中世においては司法による紛争解決が中核を占めていた。それに対し、近世になるとポリツァイ・ポリスの展開に見られるように、特にドイツにおいては行政-立法機能が発展し、臣民の物的活動、精神的活動を保護、育成していく。 3.以上の枠組みの下、被治者の側からすると、中世の王に対しては鷹揚さ、知性、名声、分別ある者の助言が求められ、近世の君主に対しては公共の福祉の実現、共同体を超えての秩序維持が求められた。 4.また、中世末期にはすでに、国王印璽の複数化、財政上の職務分離、都市における私法的行為の公的枠組みへのボトムアップ、都市参事会のオーブリッヒカイト化など、近世統治を準備する諸動向が見て取れる。
|