研究課題/領域番号 |
15320102
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
日置 雅子 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (40086187)
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研究分担者 |
平井 守 愛知県立大学, 外国語学部, 助教授 (30305510)
垂水 節子 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (60171906)
西谷 頼子 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (60295574)
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キーワード | ペギン会 / 魔女裁判 / 書簡文化 / 労働者文化 / ジェンダー / 音楽サロン / スキャンダル文化 / 女性文化 |
研究概要 |
日置:問題点として、先ず、中世後期の13世紀以降、自治都市化していく都市社会の中で急速に発展した「ベギン会」の存在、さらに、中世末期の14世紀あたりから始まり、16、17世紀の近代に入ってドイツを中心とした西欧で猛威を振るった魔女裁判の二つがあげられる。ベギン会の運動も魔女裁判の問題も都市における女性の問題として捉えることが出来る。その視点から、両者の関連性に焦点を合わせて研究を開始したが、直接的な接点や因果関係は、見いだすことはできなかった。従って、当該研究の重点を途中から魔女裁判の問題に収斂させ、事例研究として、Dr.D・フラーデ裁判をとりあげた。 平井:詩人ヘルダーリンとの間で交わされたズゼッテ・ゴンダルトの書簡、詩人クレメンス・ブレンターノの妹であるベッテーナの書簡小説、彼女の友人で夭折した女性詩人ギュンダーローデの書簡などを対象とした研究をとりまとめた。また関連研究として別記論文のなかで、フランス革命前期の18世紀後半の女性像について触れた。 垂水:本年度の:第1の目標は別記の論考(1903〜4年クリミッチャウ・ストライキ)の仕上げであり、同時にクリミッチャウ訪問など現地調査と関連資料の収集により、今後当テーマを深めていく地歩を固めることであった。それは報告冊子にも記すように、クリミッチャウでのインタビューをはじめ、歴史的事件と東ドイツ時代およびその崩壊後の当地での女性の生き方を理解することに大いに役立ち、大成功だった。一方、1903〜4年ストライキ当時の工場労働や家庭生活をふくむ労働者文化におけるジェンダー問題の分析と理論化は容易ではなく、今後の課題となる。 西谷:下記のことに集中して、研究のまとめとした。1)ヴェロニカ・ベーチ著『音楽サロン・秘められた女性文化史』の翻訳、2)カローラ・ヘルメス『スキャンダル文学 女性文学の歴史』(2004年)についての書評。 本年度はこの共同研究の最後の年であるが、各自が自己の個別テーマを追究することに多くの時間をさき、総合的な分析と考察は不充分であった。その一因は、メンバー1名がほぼ一年間国外(ドイツ)研修を行っていたことにある。当メンバーが06年4月初旬に帰国後、直接討議し合い、共同研究の成果を報告冊子としてまとめる。
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