研究課題
基盤研究(B)
1.日置:「近代初頭ヨーロッパの魔女裁判にみるジェンダー」近代初頭のヨーロッパで猛威を振るった魔女迫害について研究。16世紀の迫害としては大規摸に展開したドイツ・トリアー地方の魔女裁判を取り上げ、中でも、社会的に地位のある男性を魔女として抹殺した「Dr.フラーデ事件」に焦点を絞って考察した。その結果、魔女迫害は、単に女性を謂われのない迫害の対象にしたという点のみならず、男性社会において女性を犠牲にした上での「男性による、男性のための迫害装置」と位置づけた。2.平井:「ドイツロマン派の時代における書簡文化と女性像」18世紀後半から19世紀の初頭の女性たちにとって、書簡は唯一の自己表現の場であった。そこにおいて社会と個、夢と現実とが鋭く交錯する。しかし現実の市民社会の中では、その夢と願望は挫折していかざるを得なかった。3.垂水:「20世紀初頭ドイツの労働者文化とジェンダー」ここでは主に二つの問題を扱った。1.1903〜4年ザクセン・クリミッチャウの繊維業ストライキにおいて女性労働者は市民派女性運動などの同情と支援を得た。2.第一次世界大戦下に労働者層の女性は食糧不足に抗して行動し、食糧暴動など自然発生的な行動は1918年革命への最も重要な要因になった。4.西谷:「ドイツ文学とジェンダー研究-類型化された男性像と女性像」ドイツ語圏の文学に現れた類型化された男性像と女性像の成立過程を調査・研究した。特にドイツ語圏においては、ドイツの特殊事情により19世紀後半からこの類型化が強化された。その原因を、「文化学」の定義を求め、この定義から探求した。文化学の概念なくして現在、ドイツ文学研究は不可能といっても過言ではないからである。さらに今日、いたるところで安易に使用されている「ジェンダー」の言葉の意味を、専門分野としての「ジェンダー研究」として明確にし、この研究からも文学上の類型化された男女の成立過程を論述した。
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愛知県立大学紀要(地域研究・国際学編) 第38号
ページ: 227-244
ドイツ文学(日本独文会編) 127号
ページ: 155-157
ページ: 81-106
愛知県立大学紀要(言語・文学編) 第38号
ページ: 215-228
German literature (Japan society for German(editor)) the 127th volum
The Journal of the Faculty of Foreign Studies, Aichi Prefectural University, Area Studies and International relations. No.38
The Journal of the Faculty of Foreign Studies, Aichi Prefectural University, Language and Literature No.38
Rethinking of Sexuality in Western Civil Society (Yuji Wakao, Yayoi Suhara, Setsuko Tarumi (ed.))(Yamakawa Syppan)
ページ: 243
Tokyo Ongaku no tomosha
ページ: 366
早稲田大学 博士(文学)学位申請論文『ドイツ・ラディカリズムの諸潮流-革命期の民衆1916〜1921年-』の副論文
Theoretical Argument adding to the Doctoral Dissertation, Waseda University, Feb. 2004
The Journal of the Faculty of Foreign Studies Aichi Prefectural University, Area Studies and International Relation. No.38