研究課題/領域番号 |
15320105
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
飯田 収治 関西学院大学, 文学部, 教授 (70047116)
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研究分担者 |
阿河 雄二郎 関西学院大学, 文学部, 教授 (80030188)
田中 きく代 関西学院大学, 文学部, 教授 (80207084)
中谷 功治 関西学院大学, 文学部, 教授 (30217749)
横山 良 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (30127873)
大黒 俊二 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50152096)
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キーワード | 文化的ボーダーランド / マージナリティ / アメリカ・ポピュリズム / 近世フランス / 海洋的・商人的国家 / ビザンツ帝国中央軍制 / 「人工都市」ウッジ / エジプト古王朝の辺境地ヌビア |
研究概要 |
本研究は、複数の異文化社会の間にあってそれらが相互に拮抗し、融合し、共生しあう、それ自体独自のリアリティを有する文化的ボーダーランドに注目して、その生成・発展・消滅のプロセスと構造を西洋史の各時代・各地域に探ろうとするものである。昨年度に引き続き、本年もその観点から資料収集に力をいれ、研究参加者による国内外への調査出張を随時行った。特に「ヨーロッパ史班」の飯田と藤井はドイツとポーランドに資料収集のための調査旅行を実施し、近代・現代におけるボーダーランドの存在形態を解明する手掛りを得た。これらを踏まえて、四回の研究打合せ会を開催し、各研究分担者の課題に即した研究の進捗状況を確認すると共に、全体構想の枠組について意見交換がなされた。19世紀のアメリカ・ポピュリズムの新解釈を試みる横山は、文化的ボーダーランド概念の適用可能性を示唆する試論を提供した。17〜18世紀フランスの外国人受け入れを論じた阿河報告は、近世フランスが「国民国家」への方向性と外に開かれた「海洋的・商人的国家」への方向性とを同時に孕む国家であったことを明確にした。中谷は8〜9世紀ビザンツ帝国の中央軍制の整備過程を通して、地中海帝国におけるボーダーランド的状況の出没のダイナミズムに注目した。藤井報告では、諸民族共存のいわば「人工都市」としてのウッジ市の特殊なあり方と、そこに登場する企業家の特性が指摘された。エジプト古王朝に関する秋田の考察は、王朝支配圏に包摂されていく辺境地ヌビアのマージナルな構造に迫った。本年度は、以上のような知見を具体的な史実に即して共有することができた。
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