16年度の西都原81号墳第1次調査を継続して、第2次調査を実施した。調査内容と調査結果は次のとおりである。 (1)前方部の平面形と規模の確定 遺存状況の良くない東側を除く前方部墳丘をすべて露出させ、測量調査を行い前方部墳形を明らかにした。前方部の規模は、長さ20m、くびれ部幅9m、同高2mである。 (2)後円部の平面形と規模の確定。 後円部に4個所のトレンチを設定し、それぞれのトレンチで墳端・周堀・段築構造の把握につとめた。その結果、後円部直径約34mとなり、墳長が64mと確定した。後円部高は4〜7mである。また、1次調査で一部が確認された段築は、後円部全体をめぐることが判明した。 (3)後円部墳頂の構造把握 トレンチ調査からはじめたが、供献土器が広く認められるため面的調査に切り替えた。また、墳丘盛土の上部に埋め込まれた転石群を確認し、特異な埋葬儀礼が想定されるに至った。 (4)後円部背面側で確認された突出部全容の把握 第1次調査で存在が確認された突出部の形状と構造を把握するため、突出部全体を露出させた。その結果、不整な半円形のプランと上部平坦面を削りだした周縁部に葺石状の石組みをめぐらせる構造を確認し、併せて平坦面中央付近に墓壙を確認し、埋置された木棺内を調査した。併せて突出部裾附近に埋置された土器棺2を確認し調査を行った。 以上から、これまで不分明であった墳形と規模が確定し、検出された供献土器や土器棺から築造時期が、おおよそ3世紀中葉にさかのぼる可能性がたかい。このことは、南九州における前方後円墳が奈良県東南部とほぼ同時期にさかのぼることが判明し、南九州最大規模の西都原古墳群の形成端緒を探る上でも重要な成果を得た。
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