本研究は、7、8世紀に東北、北海道にわたる広域に分布する土器群を、比較検討することで、広域の土器編年網を作製し、地域相互の時間軸を作製するとともに、土器群の様相を細別器種を抽出することにより分析し、土器の背後にある人の動き、モノの動き、文化交流の様相にせまろうとるものであった。 研究を開始した平成15年から最終年度の平成18年度まで4年間にわたって、分担研究者熊谷公男氏及び東北、北海道各地の15名の研究協力者とともに、福島、宮城、山形、岩手、秋田、青森、北海道の各地で合計7回の研究会を開催し、各地の研究者が同じ資料を観察し、意見を交換することにより、共通理解を形作るべく努めた。 4年間の研究の結果、7、8世紀に東北、北海道の広域に分布する土器群の編年網、すなわち時間軸を作製することができた。これにより、東北北海道各地の動向の時間的な整理を可能にすることとなった。この地域の歴史的な動向を考えるための基盤を形成した。 また、対象地域には、基本的な細別器種の構成を同じくする、栗囲土器様式圏、会津型土器様式圏、北部型栗囲土器様式圏、北海道栗囲土器様式圏があることが判明した。抽出された各様式圏内では情報や技術が共有され、土器に反映される生活の仕方が共通していることが想定された。これらの様式圏相互には、人の行き来、モノの移動、文化の影響関係が認められ、東北、北海道におけるモノ、ヒト、文化の交流関係を明らかにすることができた。
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