研究課題/領域番号 |
15320116
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤田 裕嗣 神戸大学, 文学部, 教授 (10181364)
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研究分担者 |
仁木 宏 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (90222182)
市澤 哲 神戸大学, 文学部, 助教授 (30251862)
高橋 昌明 神戸大学, 文学部, 教授 (30106760)
前川 要 中央大学, 文学部, 教授 (70229285)
高橋 康夫 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60026284)
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キーワード | 都市 / 景観復原 / 空間認識 / 地籍図 / 町絵図 / 防長 / 山口 / 畿内 |
研究概要 |
本年度では史資料の収集と共同のフィールド調査に力を注いだ。後者の対象地は、山口県内では山口、長府、柳井であり、史資料の収蔵機関として山口県文書館と岩国徴古館を訪れた。他に、前川が精力的に発掘に従事している陸奥十三湊にも足を延ばし、遺跡の性格をめぐって意見を交換できた。 一方、前者、すなわち収集の対象は、(1)まず、実際に景観を復原するために必要となる史資料である。歴史地理学・文献史学でとくに必要な文献史料などを収集した。建築史学のメンバー二人は、建築遺構に関する史料を収集するとともに、山口県内に残る神社の建築遺構を検討した。前川は、考古学的発掘データを収集した。地籍図を含む基礎的な諸資料については、地方史誌類の収集に努めた。(2)次に絵図は、当時の空間認識のみならず、景観復原のための史料としても活用できる。調査機関においてデジカメによる撮影を試みた。山口県文書館に所蔵されている「小村絵図」が特筆され、近世山口の復原に役立つと期待される。(3)経済的背景や政治・社会的背景に関する文献史料も収集の対象とした。 研究の打ち合わせは、畿内とその周辺における中世・近世都市で随時行う形とし、都市遺構の見学等も兼ね、比較・検討を重ねた。仁木は、中世末期から近世社会の成立を見通す上で戦国末期の畿内に関する研究が乏しいという問題点を克服する一環として、土豪の連帯組織である「国」との関係から山城大山崎を取り上げる一方、摂河泉都市のうちとくに摂津富松について研究を進めた。高橋昌明は、神戸大学附属病院で出土した楠・荒田町遺跡について、その保存に向けて尽力するとともに、文献史学の立場から検討した。そして市澤は、播磨新宮町の近世初期における形成過程について史料調査を行い、成立時の状況を窺える町絵図を発見できた。
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