研究分担者 |
城山 英明 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 助教授 (40216205)
荒木 尚志 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (60175966)
藤原 帰一 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (90173484)
遠藤 乾 北海道大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (00281775)
中村 民雄 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (90237412)
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研究概要 |
初年度の課題は,まず共同研究の態勢を確立することであった. そこで,第一に,研究対象領域の文献調査・資料収集を系統的に行った.特に2002年から2003年にかけてのEU憲法条約案起草作業の進行,その後2003年秋からの政府間交渉という慌ただしい政治日程を背景に,ヨーロッパにおいては数多くの研究集会が開催されるとともに,多くの単行書,論文が刊行されたため,これらの情報を収集する必要があったからである.また,現地調査をも行い,文献のみではつかみにくい実状の把握に勉めた. 第二に,法学専攻者と政治学専攻者との間で研究対象分野の特定・研究方法につき,ブレーンストーミングを行った. 特に,ヨーロッパ社会法の動向に明るい濱口桂一郎氏を招き,ヨーロッパレヴェルの労使対話の展開を素材として行った研究会においては,法学,政治学の専攻者の間で刺激的な議論を行うことができた.ヨーロッパレヴェルの労使対話の当事者となる代表組合選出を巡る政治力学,その際には各加盟国の歴史的・政治的伝統が色濃く反映されていること,そのようなヨーロッパレヴェルでの労使対話が次第に制度化されつつある点を,ヨーロッパにおける「民主的」統治の視点からどのように評価すべきか等の具体的な論点が浮かび上がってきた.このような労使対話制度化現象に関しては,労働法,.政治学の先行者がともに関心を持っておりながら,相互にアプローチを異にするだけに,相互にこれまで認識していなかった論点を認識する契機となった. ヨーロッパ憲法条約の制定を目指した2003年のブリュッセル首脳会議が決裂したため,最終的なテキストが確定出来ない状況となっているが,現時点までに得られた文献・情報を収集・整理することにより,より深い分析に必要な準備作業をおこなうことができた.
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