研究課題
平成17年度の研究は、平成17年6月に開催された第28回南極条約協議国会議(ATCM)において採択された、南極環境保護議定書附属書VI「環境的緊急事態から生じる責任」の交渉経緯に関する資料収集および当該交渉過程の分析と採択された附属書の実体的規定の予備的分析が中心となった。付属書VIに関する資料収集については、第28回ATCMに柴田と高村を派遣し、非公式交渉文書を含め関連文書を網羅的に収集し、更に、交渉の現場において議論の動向をつぶさにフォローした。その後、収集した資料および最終的に採択された附属書の国際法的、国際環境法的分析に取りかかり(柴田、高村)、附属書VIのコメンタリー作成にも着手している。その一部成果を、柴田、高村が関係省庁会議において報告した(平成17年7月開催の外務省主催「第28回南極条約協議国会議報告会」議事録、非公開)。来年度は、附属書VIの検討を終え、その国際法的、国際環境法的意義と課題を報告書にまとめる予定である。南極条約協議国会議の組織的展開については、柴田と黒神が、引き続き、南極条約事務局の実際の運用・活動を調査し、その機構法的位置づけについて検討を行っている。協議国会議における法形成過程については、NGO等の役割を含め、柴田「国際法制度におけるNGOの機能と現実」、同「締約国会議における国際法定立活動」にその一部成果を発表した。黒神は、国際機構法の全般的展開の中でATCMなどの組織を捉える努力をしており、その成果の一部を、黒神「国際連合の組織と課題」に発表した。来年度は、ATCMや南極条約事務局の国際機構法的位置づけについてまとめる予定である。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
世界法年報 25号
ページ: 43-67
国際機構(第4版)(家正治, 小畑郁, 桐山孝信編) (未定)
ジュリスト 1299号
ページ: 9-15