研究課題/領域番号 |
15330010
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
国際法学
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研究機関 | 神戸大学 (2005-2006) 岡山大学 (2003-2004) |
研究代表者 |
柴田 明穂 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (00273954)
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研究分担者 |
黒神 直純 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (80294396)
高村 ゆかり 龍谷大学, 法学部, 教授 (70303518)
渡邊 研太郎 国立極地研究所, 生物資源資料部, 助教授 (30132715)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2006
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キーワード | 南極条約 / 国際法学 / 国際環境法 / 国際機構法 / 賠償責任 |
研究概要 |
本研究は、現時南極条約体制が直面している組織的・環境的諸課題を抽出し、これら課題を国際法的、国際機構法的及び国際環境法的視点から複合的に分析しつつ、その成果の綜合を通して、南極条約体制の根底に流れる「転換軸」の解明を試みることを目的とする。 まず、南極条約体制が直面した組織的課題としては、南極条約事務局の設立(2003年6月)がある。本研究では、事務局設置の国際法的、国際機構法的意義について考察するため、南極条約体制の組織的展開を概観(柴田)しつつ、国際事務局の歴史的展開の中に南極条約事務局設置をいかに位置づけるか(黒神)を検討した。そして、南極条約事務局設置の法的意義を考察した結果、同事務局の設立は従来の国際機構法では必ずしも説明できない新たなタイプの「組織体」として位置づける必要性があるとの結論に至った。次に、南極条約体制が直面する環境的課題として、本研究は、「環境上の緊急事態から生じる責任」に関する南極環境保護議定書附属書Vl(2005年6.月採択)に着目し、その交渉経緯を子細に追い、地球公共財(global commons)に対する国際的な損害賠償制度が成立したのかについて考察した(高村)。同附属書の科学観測活動に対する影響等についても検討した(渡邉)。 以上より、現代的な組織的・環境的諸課題への南極条約体制の対応は、同体制を「変革」-させるというよりも、その体制を「強化・発展」させていく過程であり、一般国際法、国際機構法そして国際環境法並びに関連先例を南極条約体制の中にうまく適応(adapt)させて取り込んでいく過程であった。その適応過程(adaptationprocess)こそが南極条約体制の特徴であり、かつ、強靱さ(resilience)であることが明らかとなった。
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