研究概要 |
本年度の主たる研究課題は、比較研究の視座から諸外国の地域ガバナンスの変容を取り上げ、沖縄のガバナンス変容の位相を探ることにあった。上半期には、1,国連の機能と民族自決権の変容、2,連邦制の変容、3,欧州のリージョナリズム、4,島嶼国及び地域の独立と自立、の4テーマで外部からそれぞれの専門の研究者、合計8名を招聘し、研究報告会を行った。 上半期の研究会の目的は、地域ガバナンスの多様な形態の可能性を諸外国及び地域の事例研究を通して明らかにすることにあった。それは、上村英明恵泉女学院大学助教授、樋口琉球大学教授、吉田健一桜美林大学教授、池谷朋明拓殖大学助教授、久邇良子東京学芸大学助教授、大城肇琉球大学教授、松島勝泰東海大学助教授の各氏による、地域ガバナンスの多様な形態と変化についての報告によって明らかにされた。 さらに、下半期、入念な準備を進め12月には、韓国済州大学校、台湾国立成功大学、オーストラリアタスマニア大学、英国シェフィールド大学から、合計4名の研究者をお招きし、一般に広く公開した国際ワークショップ及びシンポジウムを開催した。 この国際シンポジウム&ワークショップの目的は、グローバリゼーションという同時代的に向かい合わざるを得ない共通の対外的環境の中で、それぞれの地域的なガバナンスの変容がどのように対応しているかについて、それぞれの国ないしは地域・島嶼の状況について報告をもらう事であった。 かりにここで、グローバリゼーションを世界的な市場主義経済の発展と浸透を基調として、政治・軍事、地域社会など、あらゆる領域の交流が深化していくこととすれば、韓国、及び台湾における90年代以降の大幅な民主主義もしくは分権化の進展は、グローバリゼーションと無関係ではあり得ない事が報告された。また、米国の強い影響力下にありながら、台湾と中国の太平洋における影響力拡大の争い(補助等)をそれぞれ、国もしくは地域の従属的な地域からの脱却、自立への手段として発展を目指す太平洋島嶼国・地域の戦略というような、グローバル化する経済と国際関係の狭間での地域的ガバナンスの構築の困難さが報告された。 以上本年度の研究は、ガバナンス変容の中の沖縄2004年度研究報告書及びReport of Okinawan Workshop on comparative Regional Governanceの2冊の報告書として、まとめあげられた。
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