研究課題/領域番号 |
15330031
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
原 暉之 北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (90086231)
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研究分担者 |
中見 立夫 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20134752)
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キーワード | 日露戦争 / ロシア帝国 / サハリン / 戦争捕虜 / ロシア極東 / 中国東北 |
研究概要 |
本研究が調査対象として設定した史料館・文書館のうち、今年度直接アクセスしえたのは、外務省外交史料館(東京)、ロシア連邦国立文書館(GARF)、ロシア国立軍事史文書館(RGVIA、以上モスクワ)、ロシア国立歴史文書館(RGIA、サンクト・ペテルブルグ)の所蔵する諸フォンドである。本研究が課題とする「日露戦争期の東アジア国際関係」の研究はもとより多角的な考察を要するが、手はじめに次の3分野について未公刊文書史料の所蔵状況を調べた。すでに一部の分野では、史料の閲読に基づき研究成果を発表している。 1)日露戦争期の捕虜問題。外務省外交史料館所蔵の「日露戦役ノ際帝国ニ於テ俘虜情報局設置並俘虜関係雑纂」から捕虜問題の概観を得るとともに、RGVIA所蔵の「戦史編纂文書」に含まれる南部サハリンの戦闘記録等から、日露戦時下の戦場におけるロシア将兵捕虜の待遇が日本国内での待遇とは大いに異なる事実を具体的に明らかにした。研究成果の一部は松山大学主催のシンポジウムで発表した(11参照)。 2)日露戦争前後のロシア極東地域政策。前年度におけるRGIA所蔵「極東拓殖委員会」フォンド、同「中東鉄道会社理事会」フォンドの調査により、主として戦後の局面におけるアムール鉄道敷設問題・自由港制廃止問題に焦点を当てた。研究成果の一部は年度当初『ロシア史研究』誌に発表したが(11参照)、今年度は戦前・戦中の局面に遡りロシア極東地域史の解明に向けて新資料の発掘を進めた。 3)日露戦争前夜におけるロシア帝国の中国東北(満洲)・朝鮮政策を明らかにするための手がかりを探索した。そこから得られた新たな知見として、GARF所蔵G.A.プランソン個人フォンドが極めて貴重な史料の宝庫であることが判明した。目露戦前にロシア政府外務省から極東太守アレクセーエフ提督のもとに派遣された外交官プランソンの個人フォンドは、ロシア政府と極東太守府とのあいだの往復通信文など、開戦外交のあり方を規定するロシア政府上層部の内部対立に関して興味深い資料群に満ちている。このフォンドに含まれる資料群の閲読・検討は次年度の中心的な研究テーマとして引き継がれことになる。
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