研究課題
基盤研究(B)
本研究は、日露戦争期(ここでは19世紀末から日露開戦を経てポーツマス講和とそれに規定された諸条約の締結・実施に至る時期を指す)の東北アジアをめぐる国際関係を未公刊の文書史料に基づいて総合的・多角的に研究することを目的に掲げた。具体的には、近年利用アクセスの改善が著しいロシア国内の主要な文書館において、史料所蔵状況の調査、史料の閲読と複写を行い、研究論文を執筆し、さらに史料集を編集することまで目標とした。この目的を念頭に置き、ロシアの主要文書館に所蔵される次のフォンドに注目した。a)ロシア連邦国立文書館(GARF・モスクワ)F.818(G.A.プランソン個人フォンド);b)ロシア国立歴史文書館(RGIA・サンクトペテルブルグ)F.323(中東鉄道理事会フォンド)およびF.394(極東拓殖委員会フォンド);c)ロシア国立軍事史文書館(RGVIA・モスクワ)F.846(戦史編纂文書);d)ロシア国立極東歴史文書館(RGIADV・ウラジオストク)F.702(プリアムール総督官房フォンド)。研究代表者は、第1に日露戦争期の捕虜問題、第2に日露戦争期のロシア極東地域政策、の2領域においてオリジナルな知見を得た。これが本研究の最も顕著な成果である。前者については、日露戦争下の戦場におけるロシア将兵捕虜の待遇が日本国内の待遇とは大いに異なる事実をわが国の日露戦争史研究・国際人道法研究の上ではじめて具体的に明らかにし、通説的な理解に一石を投じた。後者については、主としてアムール鉄道敷設、自由港制廃止、極東拓殖委員会、アムール現地総合調査に焦点をあて、ポーツマス以後の東北アジア国際環境との絡みでロシア帝国の地域政策・帝国政策の歴史的構造を整理して論述した。この時代のロシア極東を特徴づける基本的諸側面の研究であり、従来わが国の近代ロシア史研究で空白部をなしていた領域の研究である。最後に、研究代表者と研究分担者は国際会議"World War 0 : Reappraising the War of 1904-5"(2005年5月23-26日於・慶應義塾大学)において、「日露戦争期の東北アジア国際関係」に関わるそれぞれのテーマで口頭発表を行い、これをもって本研究の締めくくりとした。
すべて 2005 2004 2003
すべて 雑誌論文 (12件) 図書 (5件)
ロシア史研究 76
ページ: 50-66
東洋文庫書報 36
ページ: 79-90
Roshia Shi Kenkyu (Studies on Russian History) 76
World War 0 : Reappraising the War 1904-5, Keio University on May 23-26
函館日ロ交流史研究会10周年記念誌
ページ: 40-45
外交フォーラム 199
ページ: 56-58
北東アジア研究(島根県立大学北東アジア研究センター) 7
ページ: 43-56
ロシア史研究 72
ページ: 60-22
国際交流 98
ページ: 17-21
近現代東北アジア地域史研究会News Letter 15
ページ: 111-117
Roshia Shi Kenkyu (Studies on Russian History) 72
ページ: 6-22