研究課題/領域番号 |
15330039
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
篠塚 英子 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (10196397)
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研究分担者 |
御船 美智子 お茶の水女子大学, 生活科学部, 教授 (10200106)
永瀬 伸子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (30277355)
大森 正博 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (40286000)
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キーワード | ジェンダー / 家計内配分 / 仕事 / 統計指標 / 労働組合 |
研究概要 |
ジェンダー平等の問題は社会的に問題視されるのが常であるが、家計内における問題では信頼に足る統計が少ないのが実情である。そのために、ジェンダー平等問題は見えてこないのではないか、という認識から研究をスタートさせた。日本では大規模企業の労働組合員を調査対象とし、配偶関係別、子供の有無別に、家計内での時間配分、経済資源配分、などによって、実際の統計的格差と、ジェンダー平等意識格差の違いを明らかにした。 結論は、統計で確認できる客観的指標(賃金格差、労働時間格差、昇進格差など)からは客観的なジェンダー格差が確認できる。他方、意識に現れた主観的なジェンダー不平等感(あるいは平等感)は、客観的なジェンダー格差に比べ、不平等感が高くでているようである。その背景には、平等政策を社会的にいかに整備したとしても、これによって家計内にある男女関係の歪みを是正する力となると、微々たるものであり、このことがジェンダー統計にあらわれた、主観的格差と客観的格差とのギャップになったと考えられる。 こうした家計内にみられるジェンダー統計の相違を、日本からアジア諸国にまで視野を広げ、韓国(ソウル)、中国(北京)そして日本の3カ国比較によって、同様のジェンダー分析を試みた。その結果、日本と韓国では類似性が、中国では高いジェンダー平等性が確認できた。その背景には、国家建設の土台に男女平等思想をおいた中国と、西欧型の合理的競争原理を経済の土台においた韓国との制度の違いがあるように思われる。そこでジェンダー平等にとって重要な政策となる、社会保障制度のあり方を北欧に事例を求めて考察した。これによって日本での制度変更への示唆に富む結論が得られたが、実現への道は遠い
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