本年度は主に、欧米系企業の環境保全に対する取り組みを、本社を訪問しインタビューすることを中心に行った。これまでアジア諸国における彼らの環境経営について現地調査を行ってきたが、それに加えて、本社における担当者の意見聴取も必要であることが明らかになってきたのが、その一連の調査の背景である。一方アジアにおける現地調査においては、インド、マレーシア、シンガポール、中国、香港を中心に現地の工場を訪問して、データを収集した。 欧州系企業における環境経営におけるその特徴は、まずモラルの高さである。さらに、規模を追求してそこから利潤を得る傾向の大きい米国系、あるいは日系企業と異なり、環境の特別な分野に特化して、それを売りものにしたビジネスを行っていることが多く見られた。次に欧米系企業と日系、あるいは華僑系企業の違いは、徹底した「現地化」の推進と、それを管理する本社での体制とマニュアル化が非常に進んでいることである。この点において、日系企業が学ぶべきところが少なからずあると言えよう。次に、シンガポール/マレーシアと香港/中国との比較も本調査では行った。結果として、前者は後者に比べてよりトップダウン式の経営が認められ、そのため環境保全に対する指示も、より徹底していることが、調査によって明らかとなった。
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