本研究においては、アジア諸国において、外国資本がいかに投資先の持続可能な開発に貢献することが可能か、特にインドを中心として企業訪問をもとにした調査を行った。これまで外国資本がインドのような途上国においてビジネスを行う場合、相手国側の持続的な経済発展に関心を払うことよりも企業利益を追求する方が多かったようであるが、今回のこの調査においては、大規模な投資を行い、それが特に自動車産業のような下請けに至るまで裾野の広い産業の場合、技術移転という形で相手国側経済の発展を支えることに貢献することも明らかにされた。さらにこうした技術移転が円滑に行われると、相手国側にも日本企業の環境問題に関する関心の高さが伝わり、効果を上げることも、明らかにされた。製造業を中心とした日本企業の投資と比べ、諸外国の投資はどちらかというと本国からの技術移転が限られることも、明確となった。最期に、ODAによる技術移転は職業訓練設備に対して行うことが最も有効であり、環境問題の解決にも役立つことが判明した。
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