研究概要 |
研究代表者・研究分担者は協力して,日本の国税・地方税及び政府間財政関係に関する資料収集・分析を行い,また,租税政策等の国際比較に関する研究を進めた。また,平成16年1月,スヴェン・スタインモ(コロラド大学)の来日時には,日本政府の関係省庁をはじめとする諸機関において,税制に関するインタビュー及び文献資料収集を行った。 平成16年1月19日,東京大学において,神野直彦(東京大学)が総合企画を務める「税制改革の策定過程に関する国際比較研究会」を開催した。研究会は財政学・政治学等の研究者や政府関係者を含む40余名の参加者を得て,池上岳彦(立教大学)が司会を担当した。研究会では,第1に,佐々木伯朗(東北大学)が報告を行い,福祉財政の財源調達システムにおける日本とドイツの意思決定のしくみの違いが大きく,その背景には両国の社会構造の違いがあることが明らかにされた。第2に,アンドリュー・デウィット(立教大学)が報告を行い,都市財政における増税回避手段としてのNPOやNPMへの依存が問題点を有することが,国際比較研究の観点から明らかにされた。第3に,スヴェン・スタインモが報告を行い,税制改革及びその策定過程において「グローバル・スタンダード」が存在しないこと,またそれが存在するかのように語られることには特定の政治経済学的意味があることが明らかにされた。研究会では,それぞれの報告をめぐって,税制改革の世界的動向及び国際比較研究の方法を主要な論点として,参加者の間で活発な議論が展開された。 このように研究を展開することにより,これまでの研究成果を発表し,情報・意見交換を行って,国際比較分析をさらに進めるうえでの基盤を確立することができた。
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