研究課題/領域番号 |
15330064
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
林 宜嗣 関西学院大学, 経済学部, 教授 (40122220)
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研究分担者 |
戸谷 裕之 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (50188752)
前田 高志 名古屋市立大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (70165645)
林 宏昭 関西大学, 経済学部, 教授 (20208630)
根岸 紳 関西学院大学, 経済学部, 教授 (10122219)
高林 喜久生 関西学院大学, 経済学部, 教授 (10226912)
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キーワード | 三位一体改革 / 国庫補助負担金 / 地方交付税 / 地域経済の活性化 / 移出入バランス / 地方財政収支モデル / 現金主義 / ナショナル・ミニマム |
研究概要 |
本年度の研究においては、第1に、まだその全容が明らかにならない三位一体改革のあり方と、その後の地方財政の姿について分析を行った。『補助金総覧』を用いた分析の結果、創設後40年以上が経過している対地方団体補助金は、金額ベースで全体の半分以上の9兆6751億円に上っていることが検証され、制度創設後の社会経済情勢の大きな変化のなかで、補助金や、その対象となっている事務・事業の存在意義、事務・事業の運営方式が今日の時代に合わなくなっている可能性のあることが明らかとなった。地方交付税については、(1)国の政策手段として利用しないこと、(2)効率的な行政運営を前提としたミニマム・コストをベースに地方交付税額を算定すること、(3)国の地方歳出に対する関与を廃止・縮減することによって、地方交付税による財源保障の水準を真のナショナル・ミニマムに絞り込む必要があることを明らかにした。第2に、地域経済の実態を分析した。三位一体改革後の地方財政は、国庫補助負担金や地方交付税といった国からの財源移転への依存度が小さくなる。しかし、移出入バランス(移出マイナス移入)の対GRP比率と財政収支バランスの対GRP比率の関係を見ると、移出入バランスの比率が小さくなるほど、そしてマイナスの値が大きくなるほど、財政収支バランスの比率が大きくなっていることが検証され、財政に依存しないためにも、移出型経済の構築が必要であることが明らかとなった。今後の財源移転の縮減が地域経済にどのような影響を及ぼし、それが地方財政にどのようにフィードバックするかを検証するために、地域経済を組み込んだ地方財政のプロトタイプ・モデルを構築し、次年度において引き続きモデルの精緻化を行う。第3に、地方行政運営の実態を検証した結果、予算制度が歳入・歳出という現金主義で成り立っており、収支バランスを確保することが財政当局の最大の課題であり続けたことから、自治体は家計と同じ「消費主体」とみなされてきたことが明らかとなった。
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