研究課題/領域番号 |
15330065
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
粕谷 誠 東京大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (40211841)
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研究分担者 |
加瀬 和俊 東京大学, 社会学研究所, 教授 (20092588)
原田 純孝 東京大学, 社会学研究所, 教授 (50013016)
橘川 武郎 東京大学, 社会学研究所, 教授 (20161507)
渡邉 恵一 鹿児島大学, 法文学部, 助教授 (00267387)
中村 尚史 東京大学, 社会学研究所, 助教授 (60262086)
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キーワード | 不動産 / 電気鉄道 / 財閥 / 貸ビル / オフィスビル |
研究概要 |
不動産は極めて個別性の高い資産であり、取引所を通じた市場価格が形成されない。それにともなって不動産市場の動向は、地価調査などが継続的に公表されるようになった戦時期以前は、ほとんど知ることができない。そのため土地取引がいかにおこなわれたのかについて、大阪を事例に、登記所の登記状況を調査した。現在はそのデータの整理をおこなっている。また日本の最初の本格的なオフィスビルである丸ビルの賃貸の状況を調査した。当時の最先端の企業や事務所が入居していることが確認された。また不動産関係の法制度の変遷についての調査を開始した。都市計画の実施が不動産の開発のあり方にいかなる変化を及ぼしたのかについて、調査を進めている。地主が組合を作り、不動産価格を高める方向で努力していること、および鉄道会社や不動産企業がそれと密接な関わりを持っていることも明らかとなった。また不動産と金融の関わりについても調査をおこなっている。長期金融市場が十分に発達していなかった戦前期において、不動産金融がいかなる主体によって担われていたのかについて、当時の有力な不動産金融機関であった府県農工銀行の分析をおこなった。その結果、融資を自主的におこなった戦間期に、府県ごとの業務のばらつきが大きくなっており、大阪などの都市型の農工銀行で業務が伸張していることが確認されている。これは都市近郊鉄道が発展し、都市への通勤客を集客し、沿線開発をおこなっていったことと整合的な減少なのではないか、という仮説が導かれつつある。
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