研究課題
基盤研究(B)
本研究の最大の課題は、平成12年に大阪大学に寄贈された日本紡績協会資料、および平成14年に大阪大学経済史経営史資料室に寄贈された旧三和銀行資料の資料目録を作成することであった。資料を1点ずつ点検した上で作成者、タイトル、作成年月、冊子・一枚物の区別、記録事項の概要、保存状況などをパソコンに入力し、整理点検のうえ、前者『日本紡績協会寄贈資料目録』、後者は『旧三和根行i資料目録』として完成させることができた。こうした作業と並行して研究代表者と研究分担者は、東京、大阪、福山などで中小企業の経営発展をささえた産業と教育インフラに関する研究も進めた。「研究発表」に示されているように、工業学校や工業試験場に関する研究も進展させることができた。その結果、化学工業に力点をおいた大都市の工業学校の活動、工業学校卒業生のキヤリア・パス、中小織物業者自らではなかなか困難なマーケット情報に対応した工業試験場による新製品開発とその成果の織物業者に対する公開など興味深い事実も明らかになった。こうした中小企業の発展をささえる制度的諸条件と金融史研究の成果を架橋することが、今後の研究課題の一つである。銀行の大口貸出先の分析については、個別情報の入力などにとどまっているが、今後は借り手に関する情報収集に努め、大部市における銀行の貸出・借入構造の一端を明らかにしたい。そうした作業が問屋金融の実態解明の第一歩となるものと思われる。
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