研究課題/領域番号 |
15330070
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研究機関 | 駿河台大学 |
研究代表者 |
村越 一哲 駿河台大学, 文化情報学部, 教授 (80265438)
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研究分担者 |
斎藤 修 一橋大学, 経済研究所, 教授 (40051867)
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キーワード | 歴史人口学 / 乳児死亡率 / 母乳哺育 / 女性労働 / 産育習俗 / 農村保健衛生実地調査 / 身体発育曲線 / 明治・大正期 |
研究概要 |
昨年度の研究において、明治期から大正・昭和期にかけて農村では母親の乳汁分泌量が乳児の発育に不十分であったことを示した。このことを踏まえ、栄養摂取の不十分さが明治から大正期における乳児死亡率を高い水準に維持させたと考えた。本年度では、この仮説を検討することに主眼を置いた。そこでは、まず、徳川時代から明治・大正期における育児書を分析し、明治・大正期に、乳汁減少という母乳に関して不可逆的な変化が生じていた可能性を指摘した。また、農村保健衛生実地調査に示された乳児の平均体重と明治期および昭和期のそれを比較することにより、明治末から大正期における農村乳児の発育が悪いことを示した。さらに同調査の産育習俗などに基づいて、女性労働への依存度が高い村の方ではより乳児の発育が悪いことを明らかにした。これらのことから出産後の過度な労働が質と量ともに不十分な乳汁をもたらし、それが乳児の発育不良、ひいては高乳児死亡率の原因になったという説明を提示することができた。これらの結果の一部は、社会経済史学会、第74回全国大会(2005年4月30日、於一橋大学)において、「明治・大正期の乳児死亡・哺育・女性労働」と題して報告された。また、これらの検討過程で利用した調査報告書のうち、とくに農村保健衛生実施調査については、その立案や実施過程を検討した。その成果は、「農村保健衛生実地調査の計画過程:部会と各部聯合主査会の役割を中心として」(『文化情報学』、第12巻第1号、pp.13-26、2005年6月)にまとめられた。ところで、今後のさらなる研究に資するため情報の共有化という視点からデータベース構築の検討を本年度の研究計画に加えた。その成果の一部が、「アーカイブズの電子的検索手段の構築・表現」(『記録と史料』、第15号、pp.25-41、2006年10月)にまとめられた。
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