研究課題/領域番号 |
15330077
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
桑田 耕太郎 東京都立大学, 経済学部, 教授 (50186558)
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研究分担者 |
長瀬 勝彦 東京都立大学, 経済学部, 教授 (70237519)
松嶋 登 東京都立大学, 経済学部, 講師 (10347263)
高橋 勅徳 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (70352482)
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キーワード | ベンチャー企業 / 社内ベンチャー / 地域社会 / インキュベーション |
研究概要 |
本年度の研究実績としては、前年度の研究を踏まえ、技術系ベンチャー単体からその範囲を広げ、より基礎的な科学技術の知識生産に携わる研究機関や大企業、さらには地域社会とベンチャーとの関わりに注目してきた。 まず、本年度において理論的関心から具体的に検討されたのは、米国のスタンフォード大における研究機関とシリコンバレーの隆盛との関係性である。シリコンバレーそのものについては、多くのメディアですでに語られているが、シリコンバレーがスタンフォード大学工学部教授であったフレデリック・ターマンの極めて戦略的意図の下で生まれたことは、意外なほどに知られていない。シリコンバレーを築き上げたターマンの基本的な発想とは、大学で生産された知識を、銀行や行政、地場産業などの地域社会を形成するアクターと結びつけ、速やかに学術的な知識を実用化に導くための仕組みを構築する点にあった。つまり、シリコンバレーとは、知識の生産者たるアカデミズムとその利用者である実業界や地域社会との間に生じるギャップを埋め、大学が生み出した知識を実用化するという発想の下で生まれた制度なのである。 また、本年度はこのような観点から、純粋な技術系ベンチャーから視点を広げ、大企業の社内ベンチャーの制度形成(大阪ガス・東京電力)、また、地域と企業家コミュニティの関わり(京阪神地域の在日華僑コミュニティ)、京都リサーチパークというインキュベーション制度のもとでの起業について、綿密なフィールド調査を行ってきた。これらの調査結果はいずれもすでに学会報告やリサーチペーパー等の研究業績として反映され、また、今後学会誌等にも投稿する予定である。また、これらの研究成果は、本研究の研究機関である東京都立大学ビジネススクールの講義「ベンチャービジネス特別演習」においても利用された。
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