メーカーと流通企業のブランド戦略に関する日英米の比較研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15330089
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 関西大学
• 研究代表者: 陶山 計介 関西大学, 商学部, 教授 (40154629)
• 研究分担者: 岸谷 和広 関西大学, 商学部, 助教授 (40330170) ; 川瀬 雅也 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (90224782) ; 藤本 寿良 大阪経済大学, 経営情報学部, 教授 (70140184)
• キーワード: ブランド・コミュニケーション / 国際研究者交流 / メーカー / 流通企業 / ナショナル・ブランド / プライベート・ブランド / ロイヤルティ / 知覚品質

研究概要

本年度の研究では、ブランド・コミュニケーション戦略に関する日英米3国間の比較とその特徴の抽出を進めるためにはどのような視点や理論枠組みが必要となるかを理論的・実証的に検討した。とりわけナショナル・ブランド(NB)やプライベート・ブランド(PB)におけるメーカーと小売企業のブランド・コミュニケーション実態と課題に関する考察を行った。
具体的にはそれは以下の3点に要約される。第1は、NB、PBに関する先行研究のサーベイと仮説の提示である。NBとPBの競争構造は小売り店頭のPBシェアとしてあらわれる。その場合、PBシェアの意味や、NBとPBの競争関係の規定因が問題となる。国別の相違に注目しながら、わが国におけるブランド・イメージのサーベイ調査と英米両国の海外研究協力者との包括的な議論・検討を通じて、ブランド選択のプロセスをコミュニケーションの視点から解明する必要性を考察した。
第2は、NB・PBの使用状況、品質評価、ブランド固定度の関係についての検討である。PBが受け入れられる要素である品質差に対する類似性調査の結果、品質差の認識は商品カテゴリーによって変化し、消費者の年代によっても変化することが確認された。また、品質の類似性認識はPB購入を促進するが、カテゴリーにも依存し、PB分析には店舗要因分析が必要であることを明らかにした。
第3に、NBとPBの認知、経験、ロイヤルティの関係をシャンプーについて調査した。シャンプーでは、NBがその技術力や事業展開、旺盛な広告・コミュニケーション活動などによって良好なブランド・イメージを形成してきた。これに対してPBはそうした点で競争劣位にある。この点がわが国における小売売上高に占めるPBシェアの低さをもたらしてきた主因と考えられる。

研究成果

• [文献書誌] 陶山計介: "わが国におけるブランド研究の十年"日経広告研究所報. 212号. 2-8 (2003)
• [文献書誌] Hisao Fujimoto: "Development of Large Retailer Supply Chain through Information Exchange"The Proceedings of the 2003 World Marketing Congress. (CD-ROM). (2003)
• [文献書誌] Hisao Fujimoto: "Why Elderly Consumers are Important for Local Small Retailers?"経営経済. 第39号. 113-125 (2003)
• [文献書誌] Kawase, M., Kagaya, N., Akamatsu, S., Kamiyoshi, A., et al.: "Liver Protection by Bis(maltolato)zinc (II) complex."Exp.Animals. 53. 1-9 (2004)
• [文献書誌] Omasa, T., Kishimoto, M., Kawase, M., Yagi, K.: "An attempt at decision making in tissue engineering : Reactor evaluation using the analytic hierarchy process (AHP)."Bioeng.J.. in press. (2004)
• [文献書誌] 岸谷和広: "広告取引における組織間関係の再検討"日経広告研究所報. 213号. 8-13 (2004)
• [文献書誌] 陶山計介: "バリュースペース戦略(共訳書)"ダイヤモンド社. 308 (2004)