研究課題/領域番号 |
15330093
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
河 榮徳 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (70228378)
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研究分担者 |
石塚 博司 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (40063614)
佐藤 紘光 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (40063747)
薄井 彰 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (90193870)
須田 一幸 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (00171273)
井上 達男 関西学院大学, 商学部, 教授 (70203239)
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キーワード | 日本の会計基準 / 会計規制 / 裁量的情報開示 / 自発的情報開示 / 資本市場の価格形成 / エイジェンシー理論 / 利益の質 / キャッシュフロー |
研究概要 |
本年度は、昨年度に続き、戦略的情報開示の実証研究、経営者と株主・債権者の契約関係に関する理論・実証研究および資本市場の価格形成に関する実証研究を並行的・横断的に遂行し、次の研究成果が得られた。 (1)多期間プリンシパル・エイジェント・モデルを用いて、部門管理者にファースト・ベストの投資決定と経常業務に対するファースト・ベストの努力水準を動機づけるには、「費用・収益の対応原則」に従った会計処理が要求される結果、(純粋な)残余利益のみが目標整合的になり得ることを明らかにした。 (2)財務報告の目的規定と会計情報の質的特徴に依拠して利益の質の概念について考察し、発生主義会計のプロセスで生じる予測誤差が利益の質に対して与える影響を検証した。 (3)自発的な情報開示によって企業は、資本コストの低下という経済的効果を享受するかどうかを自己資本コストと負債コストの両観点から分析し、限定的ではあるが、自発的な情報開示と資本コストとの間に負の関係があることが確認された。 (4)企業価値評価における利益情報とキャッシュフロー情報の有用性について分析し、連結キャッシュフロー計算書の公表直後の一般企業と財務悪化企業の企業価値評価における利益情報と営業キャッシュフロー情報の株価説明力の違いが確認された。 (5)親子上場企業における決算発表について、利益の情報内容に関する分析および決算発表に対する株価反応の分析の結果、連結(子会社)決算情報は親会社投資家および子会社投資家に利用されていることが確認できた。 (6)株主総会の正常化が観察された企業が公表する業績予想は、正常化以前に公表された業績予想や他の企業が公表した業績予想と比べ,その精度が高いことが確認された.また,業績予想の精度の向上は、利益調整行動の結果ではないことが確認できた。
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