研究概要 |
今年度はまず調査対象地を決定するために,川崎市宮前区と横浜市青葉区の町丁目を単位とした社会地区分析を行った.その結果,これらの地域では住宅地開発の時期によって大きく事情が異なっていることが明らかになった.そこで女性の活動がさかんで人口の定着時期が若干異なる2つの地区-宮前区菅生地区と青葉区あざみ野地区-を調査対象地区として設定することにした.そのうえで現地の視察,行政関係者ならびに両地区の事情に通じている人へのヒアリング調査を行った. その後,対象地区の各地元自治会への挨拶と協力依頼を行い,並行して対象地区周辺で活動している女性の団体にプリテストへの協力をお願いした.そのうえで選挙人名簿から各地点200サンプルずつを無作為抽出し,学生調査員による個別面接法によって調査票を回収した.有効回答数245,単純回収率61.3%であった. 他方,前年度に行った鶴見区の調査データについては,日本都市社会学会で報告を行うと同時に,調査結果の概要を対象者向け報告書にまとめ,対象者に送付した.鶴見区のデータ分析からはこの地域が最近になって地方から流入した東京通勤者を受け入れ始めていると同時に,古くから居住し,川崎や横浜など比較的近くに職場をもつ人も決して少なくないことが明らかになった. 菅生あざみ野地区の調査票データについても,入力作業を行ったうえで,データ・クリーニングを実施し,単純集計などの分析が可能な段階まで作業が進んでいる.具体的な分析結果の検討と整理は次年度の課題であるが,やはり単純に東京通勤者ばかりではなく,川崎への通勤者が少なくなかったり,地方都市よりもある意味で濃密な女性の近隣関係が展開しているなど,興味深い知見が期待できるデータとなっている.
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