本研究は、北海道の季節労働者がおかれている状況を、技能形成と雇用の視点から明らかにすることを目的にした実証研究である。 具体的には、季節労働者の通年雇用化を目指す動きの中で、季節労働者に対する職業教育訓練が雇用にとって有効性を発揮できているのかどうかその実態を明らかにすることである。この報告書では3ヶ年にわたる調査を通じて季節労働者がおかれている今日的状況を明らかにしつつ今後の課題を析出した。報告書では以下の九つの視点から整理している。 1.北海道の季節労働者の概要、2.季節労働者の家族生活、3.季節労働者の業種別・職種別年齢構成と作業現場、4.季節労働者の就労状況、5.季節労働者の賃金・労働条件、6.季節労働者の雇用・労務管理の実態、7.季節労働者の職業経歴と国の季節労働者政策、8.季節労働者の通年志向の状況、9.季節労働者の技能形成と冬期技能講習制度 以上の報告を通じて明らかになったことは、国や道が行っている施策だけでは通年雇用には結びつかないということである。社会政策的観点から季節労働者をとらえる従来の政策がそれなりの有効性を発揮している事実を評価しなければならない。季節労働者が軟着陸できる雇用政策の展開こそが今後の大きな課題といえる。
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