研究課題/領域番号 |
15330110
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
西澤 晃彦 東洋大学, 社会学部, 教授 (20245658)
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研究分担者 |
奥山 眞知 常磐大学, 人間科学部, 教授 (60152443)
文 貞實 中部学院大学, 人間福祉学部, 助教授 (20301616)
中村 祐司 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (50237442)
稲葉 奈々子 茨城大学, 人文学部, 助教授 (40302335)
武田 尚子 武蔵大学, 社会学部, 助教授 (30339527)
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キーワード | 都市下層 / 貧困 / ホームレス |
研究概要 |
本年度は、文貞実、山口恵子が、社会的排除とそれへの抵抗を理論的テーマとし、野宿者を事例として検証する報告を、日本社会学会(於法政大学多摩キャンパス)で行った。それに先立って、野宿者のサバイバル・ストラテジーや、空間利用などを、社会的排除への抵抗として記述することがいかに可能かをめぐって、研究会を二度、東洋大学で開催し、議論を重ねた。日本社会学会での報告はなかった他のメンバーの研究にも、そこでの議論は充分に反映されているように思う。 武田尚子、文貞実、奥山眞知による地方歓楽街の女性従業員研究は継続中である。流動的な女性下層労働者の様態が把握されることによって、戦後的な下層社会の全体がようやく語り得るようになると思われる。また稲葉奈々子は,フランスの都市底辺層と日本の都市下層を、比較分析した。 さらに、以上のような各自の研究成果を元に,それぞれの調査・研究を理論的な論及へと結び付けていく作業に着手した。この際に用いられた共通のフレームが、EvansやSkochipolらによって彫託された国家論、グローバリゼーション論、そして福祉国家のタイポロジー論であった。福祉国家の各国のタイプによって、各国の国家レベルにおける下層の統合様式は異なる。グローバリゼーションなどの環境変動のなかで統合の危機に陥った国家は、様々な手段を用いて下層を再編成するが、その際の再編成の様式はおおむね福祉国家のタイプによって、軌道を予測することが可能であった。
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