研究課題
最終年にあたる今年度は、ソーシャルワークが捉えるアセスメントと援助計画の関係についての検証を行った。詳細は以下のとおりである。1.高齢者領域 アセスメントから援助計画への展開過程を整理すると共に、9名のケアマネジャーにインタビューを行った。その結果、アセスメントとケアプランが同時進行的に起こることや、この過程を説明するために必要な要素を整理することができた。2.児童・家庭領域 ワーカーへの半構造的面接を通して、虐待事例におけるアセスメントからサービスへと移行する際のプロセスについて検討した。また親の参加についての検討も行った。3.医療領域 がん患者に対するソーシャルワーク援助に特定したワーカーへのインタビュー調査の分析を引き続き行うとともに、フォーカスグループ討議を行い、アセスメト枠組みの検討を深めた。4.精神障害者領域 生活訓練施設における面接事例の分析から、生活場面の共有、対話、また失敗や困難状態等を利用者と共有しながら信頼関係を構築していく協働関係が支援の基盤にあることが考察された。5.知的障害者領域 知的障害者領域におけるアセスメントの特徴、ケアマネジメントの制度化に伴う課題、スウェーデンにおける知的障害者への生活支援とニーズアセスメント、「個人中心計画」を用いた実践事例についての考察を行った。6.身体障害者領域 これまでの議論によって導きだされたアセスメントの視点・価値観について、事例研究の結果と付き合わせながら改めて検討した。そしてアセスメントに盛り込むべきエンパワメントやストレングスの要素を抽出した。7.ソーシャルワーク理論領域 これまでの研究成果を素材に、アセスメント/プランニングに関する特質を抽出した。その結果、領域ごとの違いがあっても、クライエントの主体性をどのようにアセスメントとプランニングに反映されるかに焦点が当てられていたこと、ツールとしてのアセスメントシート等をどのように活用するかというワーカーの力量や能力に負うところが大きいことも明らかとなった。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (3件)
大阪市立大学生活科学研究誌 3
ページ: 235-243
東洋大学社会学部紀要 42・2
ページ: 101-120
日本の地域福祉 18
ページ: 33-43