研究概要 |
平成15年度の研究においては,来年度(16年度)に予定している調査のための準備と,これまでに行った調査結果のデータベース化を行った。データベースは,介護保険制度前に実施した3回の調査(1996[第1回],1997[第1回の追跡],1998[第2回]),および介護保険制度後の2回の調査(2002[第3回],2003[第3回の追跡])の結果を集約したものとして作成した。またこのデータを用いて,第51回日本社会福祉学会において自主企画シンポジウム「介護保険制度の評価の試み-実態調査からの報告」を実施した。報告内容としては,「在宅サービスの利用率の向上は,要介護高齢者の障害の状態あるいは介護者である家族の有する支障要因によって異なっており,一様に向上しているわけではない」「介護サービスに対する意識の面では,介護サービスによって介護問題に対応しようという人が増加し利用への抵抗感も減少している」「利用量は増加しているものの利用希望も増加しているために,利用希望が充足される割合が介護保険制度後に飛躍的に増加していることはない」「サービスの満足度は量的な側面については向上しているものの,質的な側面であるサービスの質に関しては有意な変化がみられない」といったものであった。さらに,時系列データの分析手法を習得するために,ミシガン大学社会調査研究所リヤン教授を招聘し指導を受け,来年度予定している調査の設計に着手した。
|