研究概要 |
東京都下A市在住の65歳以上の者28,583人から無作為抽出した10,000人を対象に,身体的障害の程度および認知的障害の程度を基準に用いて要介護高齢者をスクリーニングする調査を,郵送回収(一部訪問回収)にて実施した。さらに,回収した9,009票の中で要介護高齢者の疑いのある898人の高齢者の家族介護者を対象に,訪問面接調査を実施した。その結果最終的に,441ケースの要介護高齢者のサンプルを得た。要介護高齢者は,6割が女性で,4割強が85歳以上であった。さらに要介護度の程度は,「1」および「2」が約2割,「3」および「4」が15%強,「5」が1割強であった。家族の主介護者は,4分の3が女性で,70歳以上の者が3分の1を超えていた。 保健福祉サービスの利用状況は,ショートステイ(短期入所)が26.5%,ホームヘルプ(訪問介護)が46.3%,デイサービス(通所介護)が34.5%,巡回入浴が10.7%,そして訪問看護が17.9%であった。サービス満足度では,ショートステイ,ホームヘルプ,デイサービス,および訪問介護への満足度において,概ね9割が満足していた。介護者の負担については,約4分の1が「毎日かかりきりでお世話」しており,「かかりきではないが毎日お世話」している者も6割近くとなっていた。さらに,身体的負担,精神的負担,社会生活的負担は,「要介護3」以上の要介護高齢者を介護している場合に,より強くなる傾向にあった。来年度は,昨年度作成したデータベースに本年度のデータを加え,介護保険制度実施前後のデータの比較検討を行う予定である。
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