埼玉県西部に行った知的障害児の保護者と同胞に対する調査結果の解析と2回のシブショッブ(小学生の同胞を対象としたワークショップ)を試行した。調査方法は質問紙法であり、対象は知的障害児(1才から18才)の子どもの保護者と同胞であった。試行結果および評価は16年度に報告する。 保護者を対象にした調査は回収率が25%であり結果は以下の通り;1)同胞について心配ごとがあると答えた親は約6割であった。2)シブショップの試行案内に参加を希望し、住所・氏名・電話番号を記入した親は28人18.5%、4回の試行に応募した同胞は合計*人*%(6人は複数回参加)であった。3)母親は対照群に比べ自己概念総得点と知性以外の12領域得点が有意に低かった。同胞を支援事業に参加させたいと答えた母親はそれ以外の母親に比べ自己概念の養育領域の得点が有意に高く、同胞について心配している者が有意に多かった。 同胞を対象にした調査は回収率が16%であり(平均年齢13.5才)、主な結果は以下の通り;1)自由記述では約半数の同胞が障害児について困った経験を記載した、2)同胞の自己概念得点は対照群に比べ課題領域でのみ有意に高く、他の12領域の得点および総合点には有意な差はなかった、3)シブショップに参加を希望した者は希望しなかった者に比べ自己概念の領域得点のうち母親との関係、課題、容姿の3領域の得点が有意に高かった。 回収率が低いため一般化には疑問があるものの、これらの結果から、同胞は障害児に関わる共通した悩みをもつとしても、対照群と比べ自己概念が高いとも低いともいえないと考えられる。同胞の悩みは直接に障害児との関係だけではなく、障害児の将来や親との関係にも渡ることと親の自己概念が対照群と比べて低いことから、同胞に対する支援は同胞をだけでなく親に対する支援と同時にすすめる必要があることが示唆された。支援事業への参加を募る方法を検討する必要があると考えられる。
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