目的:特殊なニーズのある子どもの同胞に対する支援方法として米国で開発されたワークショップ(以下、WS)を日本の実情にあわせて実施し有効性を検証すること、継続して実施するシステムを構築することを目的とした。 方法:1)近隣の養護学校・就学前通所施設の利用者の小学生以上の同胞と保護者を対象に、同胞の課題と同胞に対する支援事業へのニーズ調査を行った。2)企画・運営者が大人の同胞の場合とインストラクターの場合の内容・運営組織・子どもによる評価・スタッフによる評価を、質問紙法により調査した。3)近隣の親の会に同胞支援のニーズ調査と支援事業の実施可能性について、質問紙法による調査を行い、親の会が主催するキャンプに同行する同胞のための活動の学生ボランティアによる実施、少人数の子どもと学生が週末に外出するミニショップの試行を支援し、効果と課題を調査により明らかにした。 結果:1)回収率は30%程度であったが、同胞の課題の種類は欧米の先行研究と同様であり、ほとんどの保護者は支援活動が必要であると答えた。2)大人の同胞による討論のないWSでも、子どもと母親の間の障害に関するコミュニケーションは増え、子どもはストレスが発散できた、と答えた。インストラクターによる討論は、原型よりも時間をかけ、発表する前に書く時間を設け、全体での討論の前に少人数の討論を組み込む等の工夫により円滑に実施された。3)学生によるキャンプでは、討論の時間を設けなくても、障害児や支援者と一緒の活動の中で、同胞の経験と感情を共有することは可能であるが、学生への研修が必要なことが明らかになった。 考察:1)同胞への支援の必要性、2)討論の有無に関わらず同胞に対するWSは有効なこと、造化されたWS以外にも同胞を支援する方法の開発は必要であることが示唆された。
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