研究課題/領域番号 |
15330133
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
高木 英至 埼玉大学, 教養学部, 教授 (20163165)
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研究分担者 |
野村 竜也 龍谷大学, 理工学部, 助教授 (30330343)
林 直保子 関西大学, 社会学部, 助教授 (00302654)
杉浦 淳吉 愛知教育大学, 教育大学, 助教授 (70311719)
佐藤 敬三 埼玉大学, 教養学部, 教授 (40008644)
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キーワード | 計算モデル / シミュレーション / 社会秩序 / 集団構造 / 社会的知性 / 複雑適応系 / 信頼 / 安心 |
研究概要 |
計算上のエージェント間で協力関係が出現できる状況を背景とした、社会の安心装置の出現に関するモデルを高木が作り、シミュレーションを実施した。主な結果は次である。(1)指定した条件の下では、信頼に基づく協力が生じないほど裏切り誘因が強い場合でも、安心請負人が出現し、協力を生じさせる。(2)安心装置が出現するときエージェントの一般的信頼(戦略の一種)は低くなる。この結果は概ね予想通りだった。しかしいくつか克服すべき点が認識された。第1に、裏切り誘因が低い場合には安心装置が出現する合理性はないのに、やはり出現している。第2に、安心装置が生じるか否かは、安心請負人の出現にする条件(仮定)に高度に依存する可能性がある。そこで安心請負人の出現条件を体系的に検討する必要が認識される。そのため、現在、モデルの見直しを進めている。 この他、野村は集団構造の創出に関する数理的な側面に考察を加え、一定の成果を得ている。研究分担者間の議論を経て、野村の分析で仮定したPOXシステム自体の創発を分析する余地があることが認識された。 林は協力関係の出現を可能にする関係的社会資本(信頼など)および社会的知能に関する基礎的な実験知見をまとめた。この知見は高木の分析した信頼に関する結果とは別の側面を含むため、結果の含意をさらに検討している。また、林と杉浦が社会資本の創発に関する実験の設計を検討している。しかし林が次年度は在外研究のために研究分担ができなくなったため、別の分担者を置くことを含めて研究の見直しを行っている。 佐藤は複雑適用系の側面を既存のサイバネティックスの観点から整理しつつある。今後は複雑適応系が社会の分析に対して持つ影響を分析することが課題となっている。 現状では民族学的な知見の整理が遅れているので、次年度の課題としたい。
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