研究課題/領域番号 |
15330134
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
唐沢 穣 名古屋大学, 環境学研究科, 助教授 (90261031)
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研究分担者 |
米谷 淳 神戸大学, 大学教育推進機構, 教授 (70157121)
遠藤 由美 関西大学, 社会学部, 教授 (80213601)
松井 智子 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (20296792)
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キーワード | 社会系心理学 / 社会的認知 / 言語と認知 / 認知と文化 / コミュニケーション / 発達心理学 / 感情心理学 |
研究概要 |
1.唐沢を中心に行為に関する意図性と責任の認知について、行為者が集団であった場合と個人であった場合の相異点と共通点とを実験によって明らかにした。その結果、(1)他者の行為が意図的なものであるか非意図的なものであるかを直感的かつ系統的に区別するような「しろうと理論」を、人が一般に保持していること、(2)意図的行為の説明は、行為者の欲求や信念などに言及した「理由」によるものと、先行条件をもとにしたものとに区別できることを示すとともに、(3)自由記述データからこれらの説明の種類を抽出するための言語的分析ツールを構築した。また、決定機関などの「心的装置」と見なせる機能が備わった集団の行為は、個人の行為と同様に「理由」による説明が行なわれやすいことを示した。 2.意図性や責任の判断がコミュニケーションを通じて共有される過程を検討するための実験を実施した。 3.原因と責任に関する認知やステレオタイプ的認知が法的判断に与える影響を調べるための実験を行ない、個人の認知傾向が法という社会制度を通じて共有・維持されていく過程を考察した。 4.原因の判断が、使用される言語の他動性と自動性に影響することを心理言語学的実験により明らかにした。 5.松井を中心に、発達心理学的な実験研究を通して意図認知と言語発達の関連を明らかにすることにより、認知的共有と発達過程の関係を実証的に検討した。 6.遠藤を中心に、心的状態の被透視感を過大視することによりコミュニケーション・ギャップが生じることを示す実験を行ない、認知共有に関するメタ認知過程について検討を行なった。 7.米谷を中心に、感情の表出過程とその理解の過程について、主に日本と台湾の比較研究をもとに吟味した。 8.以上の研究成果は、国内学会、国際学会、種々のコロキアム等における多数の発表・講演を通して公表された。学術雑誌および学術書における成果の公刊も活発に行なわれた。
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