研究課題/領域番号 |
15330138
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育心理学
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研究機関 | 東京国際大学 (2004-2005) 東京福祉大学 (2003) |
研究代表者 |
高砂 美樹 東京国際大学, 人間社会学部, 教授 (40261763)
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研究分担者 |
西川 泰夫 放送大学, 教養学部, 教授 (70053642)
小谷野 邦子 茨城キリスト大学, 文学部, 教授 (20162076)
坂西 友秀 埼玉大学, 教養学部, 教授 (30165063)
加藤 義信 愛知県立大学, 文学部, 教授 (00036675)
間宮 正幸 北海道大学, 教育学研究科, 助教授 (70312329)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | 心理学史 / 民族心理学 / ピアジェ / ワロン / 滝沢武久 / 全体性心理学 / ゲシュタルト心理学 / 教育心理学 |
研究概要 |
本研究では、日本における教育心理学の展開について、3つの観点から知見をまとめた。 1.民族心理学の影響について 日本の心理学はヴントの心理学に強く影響されたという歴史がある。そのため民族心理学を比較的早期に紹介していたことが確認された。日本という国がアジアで拡大していく時期は民族心理学の研究の隆盛とも重なっていたが、この民族心理学においては人類発展史という観点をもつヴント的な民族心理学よりも、民族差を優劣で判断するようなル・ボンのそれに負っていた。また、台湾や韓国など植民地における教育の問題も民族心理学と密接に関係していた。 2.フランス語圏心理学の影響 戦後の発達心理学において、ピアジェとワロンというフランス語圏心理学者の影響が強かった時期がたしかにあったにもかかわらず、フランス語圏心理学は結局日本では根付いていないことが示唆され、その背景として、精神医学や障害児教育との関わりが薄かったことが考察された。また、戦後のピアジェやワロンの導入に携わった滝沢武久氏のインタビューから、戦前・戦後の臨床や現場との関連の薄さがあらためて確認された。 3.ドイツ語圏心理学の影響 戦前の日本の心理学のトピックとして、ゲシュタルト心理学の隆盛が挙げられる。戦後のGHQ文書のデータベースからも、戦前のこうした流れを活かして青年心理学を戦後に立て直そうとしたことが示唆された。またゲシュタルト心理学のあとに出てきた学派で、ヴントのいたライプツィヒ大学を中心とした全体性心理学について、戦時体制との関係について考察した。心理学者は全体主義などとの関連を否定したものの、教育関係などで「全体性」という用語が多義的に用いられ、都合よく使われていたこと、ゲシュタルト心理学と全体性心理学とは必ずしも明確に区別されていなかったことが論じられた。
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