研究課題/領域番号 |
15330141
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育心理学
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
中津 楢男 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (90133131)
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研究分担者 |
多鹿 秀継 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (30109368)
竹内 謙彰 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (40216867)
野崎 浩成 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (80275148)
石田 靖彦 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (10314064)
齋藤 ひとみ 愛知教育大学, 教育学部, 助手 (00378233)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | 算数文章題解決 / 転移効果 / 自己説明 / 小学校6年生 / 学習支援ソフト / メタ認知 / 知識構成 |
研究概要 |
本研究の目的は次の2つである。 1.小学6年生の生徒について、算数文章題の解決と転移を可能にするための知識構成の分析。 2.その結果を利用して子どもたちの問題解決および転移を支援するコンピュータソフトの開発。 本研究ではまず、子どもが算数文章題を解く過程では、1)問題を理解する、2)タスクの種類に応じて適切な情報を選択する、3)問題解決をモニタリングする、という3つのメタ認知方略が用いられていることを明らかにした。 次に、メタ認知方略の1つである自己説明に着目し、その効果を調べるために小学6年生を対象に次の実験を行った。子どもを、自己説明群(複数のステップに分けられた問題解決過程の各ステップを自己説明させる)、自己学習群(教師が各ステップの説明をしたあと、子どもが各ステップを自分で学習する)、統制群(問題の正解を導くための式と解答を与える)の3群にわけ、教師が各群とも同じように、問題の解きかたや式について説明したあと、同じ問題をグループに応じて学習させた。こうした学習の後、学習内容に関するテストを行うとともに、一定期間の経過後、転移テストを実施した。 その結果、自己説明群のほうが他の2群よりも成績がよかった。さらに、自己説明が十分に行える生徒はそうでない生徒に比べ、学習分野のテストと転移テストの両方で成績がよかった。 学習済みの課題を自己説明させることは、学習者が十分理解していない点を浮き彫りにし、それを自ら補わせる効果がある。つまり、自己説明は問題解決に向けて、子どもの持つ知識をその問題向けに構成してゆくのに有効と考えられる。 この結果を利用して我々は、学習済みの課題を自己説明させることで学習効果の改善を目的とした学習支援ソフトを開発した。このソフトは、自己説明というメタ認知方略をサポートする小学生向けの初めてのソフトと思われる。現在このソフトの有効性を調べるために、小学校6年生を対象に、算数文章題のテストや転移テストの実験を継続している。
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