研究課題/領域番号 |
15330149
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
平木 典子 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (50238870)
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研究分担者 |
野末 武義 統合的心理療法研究所, 研究員
中釜 洋子 上智大学, 文学部, 助教授 (40272489)
飯長 喜一郎 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (30092125)
宮原 るり子 日本女子大学, 人間社会学部, 助手 (30366801)
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キーワード | 子育て支援 / 家庭支援センター / リスクファクター / 心理教育プログラム / 夫婦関係支援 / ジェンダー観 / 年齢別・問題別プログラム / 家族強化(Family Strengthening) |
研究概要 |
1)文献研究:本テーマにおける先進諸外国では、両親に対する出産以前からのプログラムが充実しており、リスクファクターの大きい両親に対する目配りもきいている。父親に対しては母親よりも参加意欲が低いなどの問題はあるが、計画されたプログラムが用意されており、個人およびグループに対するファシリテーターも訓練されている。 2)施設見学:(1)日立家庭教育研究所(2)横浜市立港北保育園(3)稲城市子ども家庭支援センターを見学、活動の聴取。(1)では母親のグループ討論によって子育てを自分の生き方と絡めて考える機会が作られ、また、自主的活動も行われていた。父親については若干のプログラムが用意され、子どもとの遊びや集団討論によって子育てを考える機会が与えられていた。(2)(3)では子ども単独および親子遊びが中心であり、必要に応じて母親の個人相談に応じる程度。父親の参加については推進を図りつつある。いずこにおいても最近の親の育児力の低下が語られた。 3)セミナー等:(1)「子育てネット全国研究交流集会」(2)「日本臨床心理士会主催第4回子育て支援研修」に参加。(1)においては各地の自主的な子育てグループの活動が報告された。グループの安定化に伴う新入の親の受身の姿勢への取組など自主性の持続の重要性が語られた。(2)においては地域における母親中心の支援活動が紹介された。 4)訪問調査:(1)わが国におけるユニークな「母子メンタルクリニック」(精神科と産科の合同臨床サービスー九州大学医学部付属病院精神科周産期・児童精神医学教室)訪問:吉田敬子教授の臨床実践の陪席と事例カンファレンスに参加し、産後うつ病のリサーチと実践への適用の説明を受け、出産前後の母親のメンタルヘルスを視野に入れた育児支援の必要性とニーズに即した効果的支援のあり方に関する討議を行った。(2)育児支援プログラム開発の先端を行くカナダ・トロント大学及びトロント市における現状視察:トロント大学M.Bogo教授の指導の下、?トロント大学ではF.Mishne教授、R.Allagia教授、S.Stern教授による子どものメンタルヘルス、いじめに関するリサーチと児童・青年・親・教師のための心理教育プログラム、?Hospital for Sick ChildrenではJ.Cummings博士によるWebster-Stratton Approachに基づいた家族強化プログラムとリサーチの成果、?Creche Children's Mental Health Centreでは、T.Dinitz所長と所員による"Incredible Years"(2歳〜10歳),"SNAP"(12歳以下),"Here to Help"(4歳〜16歳)など、子どもの暴力・問題行動予防プログラム、虐待を受けた母親の子ども支援プログラム、?IntegraではM.Amerongan所長による学習障害児と家族支援のプログラム、の説明を受けた。?Roots of Empathyでは、学校内にあるParenting Centerにおける幼稚園児と6ヶ月の子どもと父親、4年生と9ヶ月の子どもと両親の交流を見学し、プログラムの創始者Mary Gordon氏と会談。(1)(2)よりニーズに即した心理教育プログラムの開発・実践効果を認識。 *予備研究としての初年度の資料収集による親一般向けのプログラムと、年齢別、問題別プログラム案の展望を得た。
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