研究概要 |
ラットの顕在記憶を測定する目的で,オペラント学習装置において複数対の刺激を用いて,ラットの遅延非見本合わせ課題を訓練・測定する手続きの開発を行った.従来のラット用のオペラント箱を改良して,側壁面の1つにタッチパネルを装着し,そのスクリーン上にいろいろな2次元の図形刺激が提示できるようにした.これによって,試行毎に次々と新しい刺激対が現れる,遅延非見本合わせ課題を考案した.1つの試行は,中央の窓への見本刺激提示で始まり,ラットがこれに反応すると遅延時間が挿入される.その後,左右の窓に異なる一対の刺激が同時に提示され,直前の見本刺激と異なる方の刺激をラットが選択すると,強化される.ラットの反応は,タッチパネル上の刺激に対する接触を検出できるようにした.刺激の提示とラットの選択反応の記録,および餌報酬による強化は,すべてコンピュータ制御により自動化した. 本年度は,ラットが遅延非見本合わせ課題を習得するまでの,効率的な訓練方法の検討を行った.とくに,課題に用いる刺激図形としてどのようなものが望ましいかを調べ,ラットが弁別しやすい刺激図形の選択を行った.そのために候補となる刺激図形をできるだけ多く作成し,これらを組み合わせて一対づつの刺激対として,弁別可能かどうかの判定を弁別学習の事態で検討した.徐々に刺激対の数を増やしていき,同時に複数対の弁別学習(con-current discrimination learning,が成立可能であることを確認した.
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