研究分担者 |
清水 遵 愛知淑徳大学, コミュニケーション学部, 教授 (50121439)
吉崎 一人 愛知淑徳大学, コミュニケーション学部, 教授 (80220614)
小西 賢三 吉備国際大学, 社会福祉学部, 教授 (60068583)
立花 久大 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80124949)
橋本 忠行 札幌学院大学, 人文学部, 講師 (80320000)
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研究概要 |
1.顔記憶(ワーキングメモリ)表象と照合過程. 健常成人を対象に,顔・花あるいは漢字・花を一対としてモニタ上の左右視野に連続呈示し,特定の顔(あるいは漢字)を標的とする検出課題を遂行させた.顔・漢字いずれの課題にも後側頭部(T5・T6)最大の陰性電位が惹起され,その発達潜時は課題関連刺激の呈示視野と反対側の後側頭部で同側に比べ50-60ms短縮した.本結果は各半球が標的同定に必要な準備が整い次第,半球相互に独立して顔視覚イメージや音韻情報を貯蔵し,入力情報と照合する機能を独立してもっており,同時並列的に照合処理が可能なことを示唆する.この知見を受けて,左右視野に男女の顔を同時に呈示し,各視野で指定された標的を検出させたところ,標的記憶照合の数に応じた陰性電位の発達がT5でみられ,各半球における独立処理を一部支持した. 2.ワーキングメモリ操作で照合対象となる顔記憶表象の切り替え. 連続試行で課題切り替えと課題反復を要求すると,標的となる顔の切り替えはP3潜時に影響せず(処理時間に関係なく),標的検出に対する反応手の切り替えは反応選択時間を延長させる結果となった.標的顔の事前的な再構築は可能だが,反応手の切り替え操作は少なくとも部分的に課題刺激後まで残すことを示唆した. 3.パーキンソン病(P)における未知顔の再認記憶. モニタ上に未知顔を反復呈示し,初回顔には右手で,反復顔には左手でボタン押しをさせた.健常者とP患者間に頭蓋頂P170振幅・潜時で違いはなかったが,刺激後300-700ms区間振幅で健常者にみられた直後反復・遅延反復(lag1(6s)・lag3(12s))に対する漸減的な反復効果がP患者には観察されなかった.本結果はP患者の顔知覚に健常者と違いがないものの,未知顔の再認記憶に障害を示し,入力表象と記憶表象との照合過程における障害が示唆された.
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