平成15年度においては、次年度実施予定の質問紙調査作成の準備のために、大学・短大、専門学校卒業生の就職活動の現状を解明するために、就職指導の担当者および学生、卒業生、中退者への聞き取り調査を行った。あわせて、ヤングジョブスポットなどの職員および来訪者に対する聞き取り調査を実施した。平成16年度においては、引き続き聞き取り調査を行うとともに、卒業直前の学生を対象にした質問紙調査を実施した。平成17年度においては、大学・短大卒業生の就職活動の現状を解明するために、平成16年度末に関東地区の11大学の学生を対象に郵送法による質問紙調査を行った調査データの分析を行った。また、期間を通じてノースウェスタン大学政策研究所のジェームズ・ローゼンバウム教授を訪ね、今後の研究についての情報交換と、資料収集を行った。 以上の調査研究を踏まえ、以下の諸点が明らかになった。選抜度の低い中等後教育機関の学生は、就職活動が長期化する傾向をもつと同時に、明確な進学意識を持たずに大学等に進学した場合に卒業後の進路が決まらなくなる傾向が明らかとなった(日本教育社会学会第57会大会「大学から職業へ-マージナルな大学生の就職活動プロセス-」)。また、中等後教育機関から職業への移行の仕組みが弛緩しているアメリカを対象に、中等後教育機関の卒業生を対象とした調査データ(公開済み)の分析を行うため、ノースウェスタン大学政策研究所のジェームズ・ローゼンバウム教授を訪ね研究を行った。その結果、アメリカのコミュニティ・カレッジと株式会社立大学との比較において、後者のほうが職業への移行がスムーズに行われていることが明らかとなった。さらに、日本における若年者のアスピレーションの形成過程に関する解明を行った研究成果を8月に開催されるアメリカ社会学会において発表した。
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