研究概要 |
本研究は,アントレプレナーシップ教育の初等教育段階での教材開発とその教育効果の検証並びに学校教育における普及をその目的としたものである。初年度は,諸外国の実践事例と国内での先進校での取り組みを調査し,2年次はこの教育の実践家である現職教員による教材開発委員会を組織し、初等教育用WEB教材「キッズアントレ」を制作した。 最終年の本年度はこの教材を使用して小学校3校,中学校1校で授業実践を行い,授業後の調査で次のことが明らかになった。「授業の楽しさ」では88%が「またやってみたい」では74%が肯定的評価であった。その要因は「自分たちでアイデアを考える」「パソコンを活用する」「グループで活動する」点でよい学習活動ができたことであった。この学習が将来役に立つ点として「自ら進んで挑戦すること」「最後まであきらめないこと」「自分で考えたり工夫すること」が挙がり,起業家に学んだ点では「新しい仕事を創り出すこと」「何のために仕事をしているのか」であった。仕事に関する理解では「仕事をするときには顧客のことを考えること」「役割分担や協力の大切さ」に加えて「よい仕事をするための工夫」が挙がった。また,学習者の自己評価は「仕事など将来のことをよく考える」では58%が肯定的という結果であった。WEB教材としては情報収集や意見交換のツールとしての評価が高かった。社会体験活動を支えるスキル習得については学習者の自信を生み出す要因となっていることが示された。これらの授業実践と調査結果からアントレプレナーシップを育成する教材として有効であることが明らかになった。今後の課題はこの教材の公立学校での普及を図ることである。
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