研究分担者 |
小川 容子 鳥取大学, 教育地域科学部, 助教授 (20283963)
北山 敦康 静岡大学, 教育学部, 助教授 (50153135)
村尾 忠廣 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (40024046)
菅 道子 和歌山大学, 教育学部, 助教授 (70314549)
安田 寛 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (10182338)
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研究概要 |
研究の初年度は,歴史的研究グループと体系的研究グループが相互の情報を交換し合いながら,それぞれの専門分野の基礎的な資料収集と分析を中心に研究を行った。 歴史的研究グループは明治末年から昭和前期にかけての唱歌,童謡,讃美歌等のSPレコードを収集し,本研究の音源資料となり得る資料を抽出し,体系的研究グループにデータ化と分析を依嘱した。同時に明治20年代から昭和前期までに著された歌唱法や発声指導に関する記述を,唱歌教授書,教授細目或いは教育関係雑誌等から収集し,分析を行った。その結果,頭声・裏声・胸声などをはじめとする発声に関する用語や換声区域の考え方がさまざまであることが明らかとなった。 一方,体系的研究グループでは,雑音の多いSPレコードの分析・ピッチ抽出にあたって専門家との意見交換や関連する国内外の先行研究の収集から研究を開始した。次に種々の音響解析ソフトによる分析を繰り返し試行し,並行して行った聴取実験結果と照らし合わせながら、解析結果の妥当性について比較検討した。試行錯誤の結果,KAYCSL4400及びSUGISpeech Analyzerの妥当性が確認できたため,このソフトによる分析結果を基に仮説の整理を行い,併せて先行研究結果の再吟味を行った。その結果,大正時代の子ども達の換声点がかなり高いこと,付点の表現がかなり個性的であることが明らかにされた。さらに先行研究によって指摘されている(1)長調/短調の明確な区分がなされていないのではないか(2)3音進行(A→D→C)が不安定に歌われているのではないか、等に対して疑問が提出された。
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