研究課題/領域番号 |
15330190
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
嶋田 由美 和歌山大学, 教育学部, 教授 (60249406)
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研究分担者 |
村尾 忠廣 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (40024046)
北山 淳康 静岡大学, 教育学部, 教授 (50153135)
小川 容子 鳥取大学, 地域学部, 教授 (20283963)
安田 寛 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (10182338)
菅 道子 和歌山大学, 教育学部, 助教授 (70314549)
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キーワード | 異文化適応 / 発声法 / 身体 / 頭声発声 / 音源 / SPレコード / 児童発声 |
研究概要 |
本年度は研究の最終年度として本課題である洋楽導入期からの目本人の身体と音感の変遷という大きなテーマを総体的にとらえることを目的として研究を推進した。過去2年間においては、歴史的及び体系的研究グループが双方の研究成果を公表しあいながら研究を行ってきたが、本年度においては歴史的、体系的という枠組みを超えたユニットにより、あらたな研究手法による研究を試みた。その成果の一つが、嶋田・小川・安田の三名による研究成果として「洋楽導入による異文化適応としての日本人の歌声の変化」という研究論文にまとめられた。また、日本人の音感の変遷という側面から行つた村尾の研究(「明治30年代『唱歌調』スキーマによる記憶の変形とその再生」)も、嶋田が提示した「唱歌調」理論の枠組みに基づいて行われたものであり、この研究においても従来の歴史的・体系的という枠組みによる研究成果では得られなかった学際的な研究による貴重な成果が得られた。ここでは日本人が唱歌を記憶する際に生じる変形の問題を「唱歌調旋律スキーマ」という視点から解明しており、日本人の音感の変遷の解明に向けた示唆的な研究成果を得ることができた。 一方、北山は洋楽受容期に日本人がどのようにして西洋音楽を受け入れてきたのかという問題を、SPレコードに残された歌声の分析により明らかにした。その結果、このような音源を駆使した研究のあり方が今後のこの分野での音源に基づいた研究の開発にも有効なものであることが証明された。歴史的研究グループの菅は、戦後の学校音楽教育という視点から本課題に迫ることを目的として、学校音楽の歌声の指針と見なされた仙台市立南材木町小学校に残された研究記録等の調査を行った。また、特に唱歌コンクールという側面から児童の発声法の変遷に関する分析を行い、そこで求められた発声法が「自然な発声」から「頭声的発声」へと展開していく過程を明らかにした。
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