研究概要 |
イギリスのエクセター大学を中心とする「算数教育における達成度に関する国際的な継続的プロジェクト」(IPMA)に参加し,日本の児童に対して使用可能な達成度調査問題(TEST6まで)の開発と,第1児童集団に対してはTEST5まで,第2児童集団に対してはTEST4までの調査実施を完了した。これらのデータ整理及び分析を行い,2つの児童集団の低学年における実態と,第1児童集団の中学年における実態を明らかにすることができた。前者については,2つの児童集団に同質の傾向が見出されるとともに,低学年の算数指導が大きな成果を上げていること等が把握され,これらのことは,全国数学教育学会誌第9巻に学術論文として掲載された。後者については,第3学年の基礎問題の達成度に関しては十分満足できる状態であったが,第4学年に学習する内容に関する問題の達成度は十分に満足できるものではなく,小数・分数に関する問題やわり算の性質を活用する計算指導等の充実が望まれること等がわかり,これらのことは,全国数学教育学会において口頭発表したところである。 また,IPMAの中心的指導者であるイギリス・エクセター大学のBurghes教授を平成16年2月に訪問し,本科研の研究計画に対するレビューを受けることができた。この際に,他の参加国のデータを入手するとともに,児童の達成度の伸び(Progress)を評価するための新しい尺度の導入可能性について示唆を得ることができた。平成16年度はこの示唆を生かし,第1児童集団に対して実施するTEST6と第2児童集団に対して実施するTEST5のデータを含めて整理・分析し,算数科における児童の達成度を維持・向上させるための指導内容や指導方法に関する成果を国内の諸学会で発表するとともに,国際数学教育会議及びこれにあわせて開催されるIPMAのミーティング等においても報告する計画となっている。
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